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ピン、と軽くて明るい音が聞こえる。友達からの新しいメッセージが来たようだ。誰からかな。三月は先洗ったばかりでまだ自分の頭の上に乗ってるタオルを外して携帯を確認する。暗い部屋ではちょっと眩しいスマートフォンの画面が目に入る。見ると親しい友達である明人からだ。またつまらない事で連絡したんだろう、とそう思う。
「メッセージ」
アキヒト:いやあ、今ちょー美人と会った!
ミツキ ? ?:何で俺に報告するわけ?
アキヒト:いいじゃん 長い黒髪の冷たい印象だった!!!
ミツキ ? ?:いや だからなんの報告?
アキヒチ:こっそり写真も撮りました
ミツキ ? ?:いやそれ犯罪wwwww
明人から受けた写真には普通の背で髪が長い女の人が写っていた。確かに綺麗そう。でも関心な顔が見えない。明人に顔が見えねーと返すと先、犯罪だと言ったのだれwwwと返事をしてくれた。それからもうちょっと会話をしてから三月はベッドの中に入る。目を瞑る。そして写真の中の女を思い出す。
あんなに綺麗なら楽に生けるよな、周りから色々と気を使ってくれて、男にモテて。いいな。最近は女性に優しい社会になったしそれにあんな美女なら尚更だろう。女はいいな、と。そう思いながら眠りにつく。
眩しい。目を瞑っていても目がちょっと何かに刺されたようにチクチクして痛いし眩しい。きっと昨日、カーテンを閉めないままに眠ったせいだ。水を吸い込んだ綿のように重い体を何とか起こしカーテンを閉まる。
今日は休日だ。もっと寝よう。そう思って再びベッドに戻ろうとした時、不意に何かの違和感を感じる。体の、正確には胸の方が重くて苦しい。そして気のせいかちょっと肩も痛いような感じがする。何か気持ちわるいと思って胸の方をちょっと触ってみる。すると普段は絶対感じない、感じてはいけない柔らかさを感じる。
「は?」
驚いて気が抜けた間抜けな声が流れて来る。その声は昨日より高い。まるで女の声だ。そのまま自分の部屋にある鏡を見るが先カーテンを閉めたせいでちょっと暗い。仕方なくカーテンをまた開いて鏡を見る。ちょっと埃がついた鏡の中には綺麗な女が自分を見つめている。長い黒髪に朝日でキラキラと光る金のように明るいブラウンの瞳。胸は普通のサイズで体はちょっと細い。本来から細い方だったから実際にあまり変わったものはないようだ。女の体になったけど。
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