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「さっき居た場所はどうも苦手だ。要らんことばかり思い出して気分が滅入っちゃって……」
陵平はいつもの脱力系な口調に戻って、微笑んだ。
「甘く考えてた。巻き込んじゃってごめん」
「俺が勝手に着いてきたんだ。そんなに気を遣わないでよ」
「やなこと思い出すって、結構キツイよ。
思い出さない方が幸せなことのひとつやふたつ、お前にもあるんだろ?」
「俺、格好悪いじゃん」
「なんで?」
「ベラベラと喋り過ぎたわ」
「そんなことない。格好悪くなんかないさ。ただ、普段はこんな話は誰もしたがらない。自分が弱くなったような感じがするから。実際、気持ちが弱ってしまうんだもん。無防備になれる相手ってそんなに多くはないんじゃない?」
「……そりゃそうだ」
陵平は照れくさそうに微笑んだ。
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