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 クレームは月哉に、褒め言葉は晃大に、というのは付き合いの長さによる雪なりの配慮なのだろうか。嬉しいけれど、少し寂しくもある。 「晃大くん、ボーッとしてると雪に叱られるよ? はい、オーダー」  ぽんぽんと頭を撫でた後でキッチンへ戻る雪の背中を見送りながら、そのうち絶対にもっと仲良くなってやると心密かに決意していると、いつの間にか戻ってきた月哉が、目の前でオーダー票をひらひらと振った。  一人前のバリスタになるべく、晃大は雪月花でドリンク担当として働いている。バリスタというとコーヒーの専門家だが、ここではコーヒー以外の飲み物も晃大が作っていた。今渡されたオーダー表にも、アールグレイのアイスティーとディンブラのホットミルクティーと記載されている。  目指しているのはバリスタでも、カフェで働いている以上、紅茶だって日本茶だって、扱っているドリンクは全て美味しく淹れたい。特に紅茶は月哉が好きなこともあって、かなり勉強している。  美味しく淹れるのも難しいが、雪がシフォンケーキのデコレーションを完成させるタイミングと合わせるのも難しい。  ショーケースに並べているのは、テイクアウト用のものだ。カフェで食べていく客には、希望のソースやホイップクリームでデコレーションしたものを出している。     
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