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「プレーンシフォンにホイップクリームとブルーベリージャム、チョコレートシフォンにオレンジソースか……」  ホイップクリームは客へ提供する直前に再度泡立てる作業があるから、少しばかり時間がかかる。ミルクティーは茶葉の蒸らし時間を長めにとる必要があるが、それでもゆっくり目の準備で大丈夫そうだ。  恐らく、雪の方でも同じようなことを考えて作っているのだろう。月哉がキッチンからケーキを持ってくるのと、自分がドリンクの準備を完了させるタイミングがぴたりと合ったときの爽快感は何とも言えなかった。  雪月花にはキッチンだけでなくカウンターにも小さな冷蔵庫とコンロが設置されていて、飲み物だけならこのカウンターで用意することが出来るようになっている。  晃大はキッチンの様子を伺いつつ、ミルクティー用のお湯をホーローの小鍋で沸かし始めた。十分沸騰したところで火を止めて、少し多めの茶葉を投入し蓋をする。アイスティー用のお湯も沸かし、ティーカップとグラスを準備。こちらも少し多めにアールグレイの茶葉を入れて蒸らし始めてから、牛乳を温める。  アイスティーの蒸らし時間は短めにすることで、濁りのない綺麗な色になることは月哉に教えられて知った。牛乳が人肌程度に温まる時間と、短めの蒸らし時間はちょうど同じくらいだ。     
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