クリスマスにもらった、とても素敵なプレゼントって?

7/17

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
6 「俺がいて正解だった。あんたらが向かおうとしてた病院、今玉突き事故の処置で忙しいんだぜ」 「どうして、そんな事知ってるんだ」 「客の一人が話してくれたんだよ。さっき病院まで送ってたんだ。裏道使わないと、一時間は余裕でかかったな」 運転手の阪井は裏道を利用して地図で×印のついていた病院の一つ西区立医院を目指していた。 裏道が病院への最短ルートであるからだった。 後部座席にいる富良野は綾の左手と半身を支えている。 「そうだったのか……」富良野は安堵する。 運転手が言うに、西区立医院は、ごり押しすれば折れるし何度も俺は世話になってる……なにより、今電話して事情話したら今回は特別ですよっだってよ。 もう10回は聞いたぜその台詞。 「本当にありがとうございます……でも、どうしてこんなに親切にしてくれるんですか……私ら、見たとおり貧乏人なのに」 「うるせえ!!」怒声で阪井は返答する。「そんなこったあ、生んでから考えな!!」   富良野は黙ってしばらく頭を下げ続けた。 阪井は富良野と綾に謝った後、今までよりもっとスピードを出して病院を目指した。 生け垣やブロック塀の路地を抜け、ライト以外真っ暗な中阪井は運転している。 このへんの土地勘に優れている阪井であったが、ほぼ空き家地帯で時刻も10時を過ぎている時に人が通りかかる事態を想定していなかった。   運転中の阪井の前に人が飛び出してきたのだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加