0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
転校生からの贈り物
ある日の夕食の団欒のひとときのこと。
中学生の一人娘が転校生と友達になったと満面の笑顔で話した。
娘は内向的な性格で、唯一の友はピアノだった。
そんな娘が、その転校生とは初対面で心をわかり合えたと言うのだ。
不思議なことでだが、とにかく私も妻も安心した。
さらに娘は転校生から風変わりな贈り物までもらっていたのだ。
それは古い映画のビデオだった。
『ノストラダムスの大予言』
私は就寝前に、その映画のことが気になり、ネットで調べたら奇妙なことがわかった。
その映画は、現代社会の終末を描くショッキングな内容のため発禁版となり、今では観ることができないはず。
それを居間にいる娘に教えようと二階から降りて行くと、娘は一人暗い部屋で食い入るように、その映画を観ていた。
翌朝、私は微熱があり体調がすぐれなかったが、その日は会議があるため薬を飲んで出勤した。
会議は予定どおり午後から10階の会議室で始まったが、高熱で朦朧(モウロウ)とする私は窓の外を眺めているだけだった。
そのとき気づいたのだ。
手前のビルの屋上のへりに一人の少女が立ち、私をじっと見つめていることに。
最初のコメントを投稿しよう!