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懐妊
王妃懐妊の報は、高僧ミッシカから大臣たちへ、そして民衆へと伝えられた。まずは誰もが耳を疑ったが、その疑いを表だって口にする者はなかった。
何しろ人の言葉も不死王の言葉も、神の言葉をも解する高僧ミッシカが、間違いないと断じたのである。まもなく王妃の体型に福々しい変化が表れるに及んで、ようやく国は祝意に沸いた。二百歳の名君と、十六歳の賢明な娘の間に、子が生まれる。老人たちはありがたいありがたいと太陽に拝み、若い者たちはこの奇跡を称える歌や踊りをいくつも創り出した。
王妃ジニが自らの妊娠を知らされたのは、民衆に先立つこと数か月の、ある朝であった。
告げたのはミッシカではない。体調不良を訴える王妃のために、彼が連れてきた侍医である。年のころは三十ほどだろうか、頬のやつれた、それゆえに大きな瞳がいっそう目立って見える女であった。
その女医の顔を最初に見たとき、ジニは驚きのあまり、しばらく呼吸を忘れた。女は弱々しい笑みを湛え、「お久しぶりです、王妃さま」と頭を下げた。
「アジュラ。本当に?」
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