196人が本棚に入れています
本棚に追加
「我らがナーダ王は、当年とって二百歳のご聖体であられる。あなたは、天に誓って、王との間に子を成したと言われるのか」
巨大な蛇の這うような波動が、群衆の足元を通り抜けた。
王妃ジニは王族キギンを見返した。その後ろに立ち尽くす、顔色の悪い女の姿も視界に入った。うつむいていて、表情は見えない。
視線を転じて、紗布の向こうに座る夫の横顔を盗み見る。微かに、その口が開きかけたようにも見える。だが無論、錯覚であろう。
夫たる不死王ナーダ――偉大なる木乃伊は、王座から黙って成り行きを見守っているばかりである。
最初のコメントを投稿しよう!