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初夜
ジニは賢い娘であった。学校に最後まで通っていたら、きっとよい教師になったであろうと、村の大人たちは噂していた。
しっかり話を聴いて、人の目を見て話す。心が穏やかで、取り乱すことがない。だから茅葺きのみすぼらしい家に突然使者が現れ、妃に召し上げられると聞いたときも、粛々と栄誉を承った。
貧しい家の長女であった。母はすでに亡く、足の悪い父親の乏しい稼ぎをやりくりして、五人の弟妹の面倒を見るのもすべて彼女の役目であった。家族にしてみれば、諸手を上げて送り出す気持ちになれなかったのも無理はない。
もっとも、娘が王妃に召し上げられれば、一家は王家の外戚となる。だから生活に困るということはない。まして本人が納得しているのなら、否やはなかった。ただやはり父としては、明君とは言え生身ではない者に大切な娘を嫁がせるというのは、複雑な心境であったろう。
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