第1章

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夢中になって架純ちゃんとあっち向いてホイをしていた… じゃんけんに弱くて、私の指につられて同じ方向を向いてしまう架純ちゃん。 可愛すぎる… 「何でやろー。負けてばっかり」(笑) 負けてくれてるんじゃないのかな… すっかり緊張がほぐれた。 「ありがとう、気持ちが楽になったよ」 「ほんま?」 ほんまやで… 「きっといい笑顔が出るよ」 私が笑い転げるシーンだと言うことを知っていたんだ… 単純そうで難しい演技。 架純ちゃんは覚える台詞が山ほどあるのに、私のシーンまで読んでくれていた… すごくうれしかったし、やっぱり優しい女性なんだと思った。 「時子、いいぞ」 「はい、オッケー!」 監督に褒められたよ… 架純ちゃんのおかげ。 気配を感じ、視線を移すと架純ちゃんと目があった… 顔の付近で遠慮がちなピースサインをしてくれてる… 私は、ありがとうの気持ちを込めて微笑みを返した。 ゆいちゃんっていろんな顔を持ってるんだよね… 可愛さ 綺麗 男前 色っぽさ いくらでも出てくる… つまり、とても魅力的な女性。 モデルさんだから、スタイルも抜群だし、くるくる変わる表情にもやられちゃう… で、あのソフトトボイスでしょ… 誰でも好きになっちゃうよね。 ん? 何だろう… このザワザワした気持ち… 誰にも渡したくない。 独占欲というものが、私の中に芽生えていた。 いいのかな… このままで。
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