〔二二〕鬼多見奇譚

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 ところが、 最後の一撃をアメノウズメは振り下ろさない。  どうした?  式神の姿が突然消えた。 「私の負けだわ」  お手上げというように両手を挙げ、 満留が唐突に言った。 「何のマネだ?」  悠輝は油断せず験力を拳に溜め続ける。 雨音がやけに大きく聞こえる。 「わからない? 貴方が命を捨てる覚悟をした時点で私の負けなのよ」 「だったら好都合だろ? どちらにしろ、 おれを殺せる」 「そんな事をして何になるの? 言ったでしょ、 私は鬼多見法眼を敵に回すほどバカじゃないって」  法眼の名を出され悠輝はイラついた。
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