12人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「それじゃ、
最後の曲、
本番行くよ」
「はい」
小原リカコは、
眼の前にあるマイクに向かって唄いだした。
やっとここまで来た。
歌手を目指して上京し、
ストリートミュージシャンから始めて五年、
インディーズレーベルだがようやくCDアルバムの制作にこぎ着けた。
そして、
今まさにアルバムの最後の曲、
『夢と約束』を録音しようとしている。
ヘッドフォンから前奏が流れる。
この曲の歌詞は子供の頃の思い出を元にして書いた、
非常に思い入れの強い曲だ。
リカコが唄いだした。
何か変だ、
スタジオがざわついている。
そして、
直ぐにレコーディング中止の指示が出た。
最初のコメントを投稿しよう!