約束の詩

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「それじゃ、 最後の曲、 本番行くよ」 「はい」  小原リカコは、 眼の前にあるマイクに向かって唄いだした。  やっとここまで来た。  歌手を目指して上京し、 ストリートミュージシャンから始めて五年、 インディーズレーベルだがようやくCDアルバムの制作にこぎ着けた。  そして、 今まさにアルバムの最後の曲、 『夢と約束』を録音しようとしている。  ヘッドフォンから前奏が流れる。 この曲の歌詞は子供の頃の思い出を元にして書いた、 非常に思い入れの強い曲だ。  リカコが唄いだした。  何か変だ、 スタジオがざわついている。  そして、 直ぐにレコーディング中止の指示が出た。
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