〔二〕ホテル麦秋

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 しかも海外SF・ファンタジー小説マニアという需要が明らかに狭い属性を与えられている。  この秋保温泉の『ホテル麦秋』に泊まることになったのも、 イベントのために仙台まで来たからだ。  百人集まれば大成功のイベントをやっている刹那が使わせてもらえるのは、 素泊まりの安宿か、 よくてビジネスホテルだ。  因みに刹那の最高集客数は六三人、 今日は二回やって合計二三人、 完璧に失敗だ。 しかも両方ともほぼ同じ客が来ている。  今回の仕事は、 SF作家ロイス・マクマスター・ビジョルドの新刊発売にかこつけた、 握手会兼トークイベントだった。  新刊発売記念と(めい)()ってはいるが、 作者とは親戚でも知り合いでもないし、 執筆に協力した訳でもない。
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