〔一〕廃墟のホテル

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 今も怖くて堪らない、 亜矢たちが撮影に来ているのは首都近郊にある(はい)(きよ)のホテルだ。  荒れ方から何年も放置されているみたいだが、 スタッフに聞いたところ特に怪現象の噂などは無いらしい。  撮影許可が下りたので放送作家がストーリーを考えたとの事だった。  わたしを怖がらせないためのウソなのかも……  何かしらの悪霊が存在していもおかしくない、 そう思わせる雰囲気がこのホテルにはあった。  亜矢は湧き上がる恐怖を心の隅に追いやった。 今は仕事中だ、 集中しなければならない。 「その霊って、 怒ってるの? オレたちに出てけって言いたいの?」 「勝手に入ってきたわたしたちを快くは思っていませんね、 そっとしておきましょう」 「あぁ~、 やっぱやめようッ、 もう帰った方がいいってッ!」  リョータがカメラの後ろにいるディレクターのに向かって言う。
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