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「リョータさんのフリが良かったんです」
「いや……」
撮影が中止になった途端、
リョータのテンションも下がった。
決して愛想がないわけではないが、
カメラが回っていないときのリョータは物静かでまるで別人だ。
「亜矢ちゃ~ん、
よかったよぉ!」
リョータにどう接すればいいか考えあぐねいていると、
マネージャーの安倍新一が物陰から姿を現した。
五十がらみの脂ぎった大男だが、
マネージャーの腕は確かで、
この仕事も取ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「だいじょうぶ? こわくない?」
「平気です、
安倍さんも見守っていてくれますから」
「いやぁ~、
亜矢ちゃんにそう言われると嬉しくなっちゃうよ!」
安倍はにやけた笑みを浮かべた。
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