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「そりゃ、探さないお前が悪いだろ。三月なんて新社会人、新入生が活発に動き出すって小学生でもわかるって」
「ああ、御蔭で良さげなところが全部埋まってた」
「でもさ、ここって……アレだよな?」
「ん?」
「出そうじゃね?」
友人の一人が手を前に出して、オバケの真似をする。
「やめろって! 俺も一瞬考えたけど、ここしかなかったんだって!」
「まあ、大丈夫なんじゃね? ここの隣にも人がいるみたいだし」
「女の子だったよな? ちょっと、羨ましい!」
ここは二階建てのアパートで、一階と二階に二つずつ部屋がある。下の階は右側の一〇二号室に、二階は二〇二号室に人がいる。俺の部屋は、二〇一号室だ。
二〇二号室には、女子大生が一人暮らしをしているらしい。引っ越し初日に挨拶をした時に、少しだけ話をした。
(確か、帆香さんだって)
「まあ、仲良くしてやれよ」
「間違っても襲うなよ?」
「なっ!? 誰がそんなことするかよ!」
そんなくだらない話をしながら、残っていた荷解きを済ませてしまう。
★☆
あれから、一ヵ月くらいが過ぎようとしていた。
「バイト後の課題って面倒くさいなー……」
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