引っ越したそこは……

4/14
前へ
/14ページ
次へ
「そう言えば、妹さんがきてましたよ」 「え?」 「高校生くらいの子で……賢人の部屋の前に立っていたので、そうかと思って」  確かに、俺の妹は今年で高校一年になった。 (何か用でもあったのか?)  仲は悪くなく、たまに連絡だって取る。  俺が家を追い出される時なんて、 「じゃあ、私が家出した時は泊めてね!」  と明るく言われるくらい仲がいい。 「教えてくれてありがとうございます」 「いえいえ、羨ましいなって思ったので」 「え?」 「私、一人っ子なので……妹が欲しかったんですよね」  満面の笑みを向けて、彼女は歩き出した。                    ★☆ 「妹が欲しい、か……」  課題をやる前に眠気覚ましに、と思い湯船に肩まで浸かる。  俺と結婚すれば、義理の妹が出来ますよ――なんて、口が裂けても言えない。むしろ、気持ち悪いだろ。 「それにしも……」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加