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「そう言えば、妹さんがきてましたよ」
「え?」
「高校生くらいの子で……賢人の部屋の前に立っていたので、そうかと思って」
確かに、俺の妹は今年で高校一年になった。
(何か用でもあったのか?)
仲は悪くなく、たまに連絡だって取る。
俺が家を追い出される時なんて、
「じゃあ、私が家出した時は泊めてね!」
と明るく言われるくらい仲がいい。
「教えてくれてありがとうございます」
「いえいえ、羨ましいなって思ったので」
「え?」
「私、一人っ子なので……妹が欲しかったんですよね」
満面の笑みを向けて、彼女は歩き出した。
★☆
「妹が欲しい、か……」
課題をやる前に眠気覚ましに、と思い湯船に肩まで浸かる。
俺と結婚すれば、義理の妹が出来ますよ――なんて、口が裂けても言えない。むしろ、気持ち悪いだろ。
「それにしも……」
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