Chapter.1-1 Driver's Heaven.

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 7月某日午後11時、首都高C1神田橋入口。  アイスブルーの180SXが停まる。 「おや?お兄ちゃん見たことねえ顔だな、カードも持ってねえみたいだし、首都高(ここ)は初めてかい?」  かつての料金所跡はサーキットと化した首都高の入場口として未だに使われている。  モータースポーツ振興のために無料開放された場所といっても、走るためには幾つかの情報を登録しなければならない。  故にスタッフが奏弥を初めて走りに来たものだと即座に見抜いたのだ。 「ん、最近になって(やま)から降りてきたんだ」  奏弥が答えると、年配のスタッフは納得したような顔で頷き、奏弥に問う。 「あぁ、なるほど。見たとこ走りには自信あるみたいだな?」 「まぁ、ぼちぼち。でも首都高と峠じゃあ走りの技術も車のチューンも勝手が違うからなぁ、っと、情報登録しなきゃなんだっけ」  完全にしゃべくりモードだったが奏弥は思い出したように手続きを始める。
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