泥山幼稚園 入園

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泥山幼稚園 入園

やがて、二人とも縦峰式を実施している泥山幼稚園に通うことになった。 入学式は、桜の花が散りはじめたころだった。 「自分も人なみの父親になったのだ」と思うと涙がとまらなかった。 泥山幼稚園は開園してから今年で60周年を迎えるとのことで、おじいちゃん、息子、孫と通うほどであった。 熊野寺の隣りにある仏教系の幼稚園である。 しかし、最初に入学式のときに迎えてくれた園児が歌った曲は「君が代」だった。 「うん、なんだ」 「これは」 と園児たちは園歌を歌いはじめた。 歌詞は変な歌詞だった。 「茶色の泥山に囲まれた泥山幼稚園」 周囲の父兄も訝しんで、「何かしら、この歌」といっていた。 突然、音楽が激しく、ピアノの鍵盤を先生が強くたたきはじめた。 「われわれは、われわれは、遠い星からやってきた」 みんなはあっけにとられているようだった。 「やってくるって、どこからだよ」とスグルはしばし考え込んだ。 では、「お兄さんとお姉さんの歓迎のパフォーマンスをします」という声とともに、 園児が逆立ちになり、クルクルと走り始めた。 「中国雑技団か、これは」とスグルは呟いた。 園では、いろいろなスポーツをやらせているようだ。 男の子も女の子も、ほぼ毎日相撲をしていた。 勉強は、景山式ドリルを使ってお互いに競い合わせていた。 勉強のほうは、二人とも幼稚園入園前から久門式の教室にいって、高校生なみの数学や英語の問題を解いていたので問題はなかった。 これは「賢者の遺伝子」の影響だろう。
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