ジーンアップル社訪問

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ジーンアップル社訪問

ジーンアップル社の本社は横浜中華街にある。 横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅で下車してから歩いて飲茶で有名な招福門の裏の雑居ビルにあった。 一階から三階までジーンアップル社が占拠しているようだ。 一階にはネズミが食べ欠けた金のリンゴのオブジェが置いてある。 立派なもので大きさは五十四方センチメートルくらいだ。 どうやらこれが会社のシンボルのようだ。横に黄金のネズミがある。 有里は感動して「スゴイ、スゴイ」といって撫でていた。 なぜか横に世界の株式市場を表示してある巨大ボードがあった。 NYSEというのはニューヨーク証券取引所、CMEはシカゴマーカンタイル取引所で商品や金属の取引の他に先物をとり扱っている。 ニューヨーク証券取引所は時間外だが、株式先物は色々な事件に反応している。 現在は東京証券取引所が時間内でそこをメインにうごいているようだ。 北朝鮮のニュースがでれば「有事の金」ということで金が買われ、金の価格が跳ね上がる。 これと連動して原油の価格が変動するなど、各ファンドの持つロボットディラー同志の戦い、そして凄腕のディラーも絡みカオスの状態を呈している。 まさか、チャン氏はヘッジファンドのリーダーとしてこの戦いに参加しているのではという素朴な疑問が出てくる。 本業がヘッジファンド業だとすると、副業の遺伝子改変も格安というのも道理がつくなと考えていた。 そのうち、ようやく、やや小太りで色黒な男、チャン氏が、頭が少し涼しげな大泉氏と名乗る男性秘書と一緒に説明をしに来た。
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