ジーンアップル社訪問

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チャン氏は、「僕は日本語があまりうまくないので、秘書の大泉君から説明してもらいますよ」といって社長室に入っていた。 大泉氏は、ひたいから髪が薄くなるタイプのようで、しきりにハンケチで顔にある汗をぬぐいながら、「恐縮です。チャン社長から紹介された大泉です」といった。 「弊社の事業であるデザイナーズベビーについて説明いたします」と丁寧な口調で二人を座らせ、タブレットを用いて説明しはじめた。 最初に出てきたのがDNAとそれに付随するクロマチンタンパク質などゲノムの総称について説明した。 遺伝編集とは、DNAの二重螺旋構造の狙った部位に挟みをいれ、望まないA遺伝子部位を取り除き、代わりに欲しいB遺伝子部位を挿入すると素人にも分かりやすい図と解説を行った。 これは、これまでうまくできなかったのが、最近、発見されたクリスパー・キャス9を用いたゲノム編集で、非常に安易で確実性が高くデザイナーズベビーをつくれるようになった。 富裕層や先天性の遺伝病患者をもつだろうと懸念される子供を中心に百人に一人程度はいるという。 この数は毎年増加しているそうだ。 日本人でも他の国と同様に数は一万人程度はいるという。海外で行われている分はカウントされていないので正確な人数については分からない。 スグルが根本的な疑問の「なぜ、こんなに安い価格なのか」と尋ねたところ、チャン氏は研究のテーマが生物のもつゆらぎと金融との相関関係について、興味をもっているとのこと。 自身の投資の中心であるゴールドとの相関についてデータを解析し、共同研究している東都大学の工学部の分子工学専攻に精緻してもらっているという。 何だか良く分からない説明だった。
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