〔一〕郡山

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 わたし、(しん)(どう)(あか)()と妹の紫織、母の(はる)()、叔父の()()()(ゆう)()と柴犬の(ぼん)(てん)(まる)は、母の運転する日産ジュークで千葉県八千代市の(いな)(もと)(だん)()から福島県郡山市の祖父の家へと向かっていた。  途中、道の駅やコンビニで休憩をしたりしながら、四時間以上かけて郡山までたどり着いた。  紫織は放っておくとズッと3DSでゲームをしているから、お母さんが一時間おきぐらいに、しりとりをしたり、クイズを出したり、デジタルではないゲームをやらせている。  そして最終的に歌になったんだけど、どうしてプリキュアなのかは解らない。  幼稚園児じゃないって最初はイヤがっていた紫織だけど、唄わされるうちに楽しくなってきたのか今は熱唱している。  お母さんは楽しいというより、ヤケになっているみたいだ。叔父さんも郡山に入ってから(ゆう)(うつ)そうだ。  二人とも実家に帰りたくないんだ。  わたしは二週間前に起こった事件のことを、また考えていた。  (りん)()(すみ)、そして()()。わたしはこの三人と、セーメイ様というコックリさんに似た占いをした。  わたしのせいで、凜と香澄は魔物に取り憑かれ入院する事になった。担任の萩原先生も巻き込んでしまい、入院だけでは済まず教職を続けることも難しくなっている。最後に由衣だけど、彼女はもういない。
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