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叔父さんとお母さんはわたしのせいじゃないって言うけど、セーメイ様でわたしの『験力』が目覚めて、魔物を呼び寄せたのは事実だ。
この能力の事を教えてくれなかった叔父さんを、怒ったり恨んだりしていないと言えばウソになる。
だけど、わたしを守ろうとして色々苦労していたのが解ってしまうから、感情の整理ができず、モヤモヤが溜まる。
「キュ~イ」
ボンちゃんが身体をヒネって、わたしの顔をなめようとする。
どうやら気持ちを察してくれて慰めようとしているらしい。
「ありがとね……」
いじらくてわたしはボンちゃんの頭をなでた。
「またあるな……」
叔父さんが外を見ながら、ボソリとつぶやいた。
視線を追うと新興宗教の建物がある。
派手な看板が掲げられていて『アークソサエティ』と書かれている。
「郡山って新興宗教が多いね、震災の影響かな?」
「いや、前から結構あったけど、あのアークってのは震災後に若者を中心に信者を増やしてるみたいだ。
ま、宗教なんて新旧宗派問わず、ろくなモンじゃない」
「おじさんがそれを言うッ?」
わたしたちが向かっている祖父の家、つまりこの人の実家はお寺だ。
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