〔一〕郡山

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 叔父さんとお母さんはわたしのせいじゃないって言うけど、セーメイ様でわたしの『(げん)(りき)』が目覚めて、魔物を呼び寄せたのは事実だ。  この能力の事を教えてくれなかった叔父さんを、怒ったり恨んだりしていないと言えばウソになる。  だけど、わたしを守ろうとして色々苦労していたのが解ってしまうから、感情の整理ができず、モヤモヤが溜まる。 「キュ~イ」  ボンちゃんが身体をヒネって、わたしの顔をなめようとする。  どうやら気持ちを察してくれて慰めようとしているらしい。 「ありがとね……」  いじらくてわたしはボンちゃんの頭をなでた。 「またあるな……」  叔父さんが外を見ながら、ボソリとつぶやいた。  視線を追うと新興宗教の建物がある。  派手な看板が掲げられていて『アークソサエティ』と書かれている。 「郡山って新興宗教が多いね、震災の影響かな?」 「いや、前から結構あったけど、あのアークってのは震災後に若者を中心に信者を増やしてるみたいだ。  ま、宗教なんて新旧宗派問わず、ろくなモンじゃない」 「おじさんがそれを言うッ?」  わたしたちが向かっている祖父の家、つまりこの人の実家はお寺だ。     
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