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「だからこそ叔父さんは言ってるの。神さま、仏さまなんて空想の産物、プリキュアと一緒よ」
お母さんが唄うのを止めて断言した。言うまでもないけど、この人もお寺の娘だ。
「でも、おじさんは真言を唱えて呪術を使ってるじゃない」
「信仰なんて、一兆パーセントしてないけどね」
またこの人は、わけの解らない事をサラッと言う。
「朱理、真言自体に超常的な力なんてない、ただの言葉に過ぎないんだ。でなきゃ、真言を唱えれば誰でも超能力を使えるはずだ」
たしかに、真言を唱えたからって不思議な能力を使えるわけじゃない。それは解ってるけど、じゃあ何で真言なんて唱えるんだろ?
「あれは験力を変化させるための鋳型だ」
わたしの考えを見透かしたように叔父さんが答える。
「例えば叔父ちゃんの験力の特性は念動力だ」
視線を自分の前に座る紫織に向けた。
コイツは唄うのをやめた途端にスマホで遊び始めている。
「あッ」
紫織の手からスマホが離れ、空中に浮いた。
「オジちゃんッ!」
「ハハハ……悪い悪い。でも、お前も少しは験力について聴いといた方が良いんじゃないか?」
紫織はプッと頬を膨らました。
「いいよッ、どうせジィジのところで、べんきょうするんでしょッ?」
「だからこそ、予習は大事だろ?」
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