〔一〕郡山

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「だからこそ叔父さんは言ってるの。神さま、仏さまなんて空想の産物、プリキュアと一緒よ」  お母さんが唄うのを止めて断言した。言うまでもないけど、この人もお寺の娘だ。 「でも、おじさんは(しん)(ごん)を唱えて呪術を使ってるじゃない」 「信仰なんて、一兆パーセントしてないけどね」  またこの人は、わけの解らない事をサラッと言う。 「朱理、真言自体に超常的な力なんてない、ただの言葉に過ぎないんだ。でなきゃ、真言を唱えれば誰でも超能力を使えるはずだ」  たしかに、真言を唱えたからって不思議な能力を使えるわけじゃない。それは解ってるけど、じゃあ何で真言なんて唱えるんだろ? 「あれは験力を変化させるための鋳型だ」  わたしの考えを見透かしたように叔父さんが答える。 「例えば叔父ちゃんの験力の特性は念動力だ」  視線を自分の前に座る紫織に向けた。  コイツは唄うのをやめた途端にスマホで遊び始めている。 「あッ」  紫織の手からスマホが離れ、空中に浮いた。 「オジちゃんッ!」 「ハハハ……悪い悪い。でも、お前も少しは験力について聴いといた方が良いんじゃないか?」  紫織はプッと頬を膨らました。 「いいよッ、どうせジィジのところで、べんきょうするんでしょッ?」 「だからこそ、予習は大事だろ?」     
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