〔七〕修行の開始

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「あれだけが原因じゃないんだよ」 「え?」 「朱理も身をもって知る事になるよ、異能力者がどんな目に遭うか。いや、もう結構知っているはずだ」  それはそうだけど……。 「この自転車は、お母さんが買ってくれたんだ」 「え?」  いきなり話しが変わって、わたしは戸惑った。 「高校の入学祝いにね。まぁ、正確には、入学祝いにくれたお金で叔父ちゃんが買ったんだけど」  わたしは計算した。叔父さんは二六歳だから、高校入学は十一年前だ。 「お母さん、専業主婦になってたよね?」 「うん。もっと正確に言えば、お母さんが着服したお父さんのお金で買った。  それはともかく、ここを出てからも、お母さんは叔父ちゃんを気にしてくれていた。  験力があっても無くても、お母さんはお母さんだ。叔父ちゃんを育ててくれた、お姉ちゃんなんだ。何があってもそれは変わらない。  だから、お母さんが知って欲しい事なら聞くし、何も語りたくないなら知らなくていい」 「恨んでないの?」 「どうして?」  キョトンとした顔をする。 「だって、お母さん、高校を卒業したら、叔父さんを残して家を出たんでしょ?  淋しくなかったの?」  叔父さんは悩ましげに眉を寄せた。 「う~ん、そうだなぁ……     
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