〔七〕修行の開始

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 結婚して、子供も出来て、経済的にも困っていない。幸せと言って問題ないだろ?  その象徴だったんだよ、このバイクは。  また乗る事になるとは思わなかったけどな。  それにしても、爺さんが、よく捨てずに取って置いてくれたよ」  お祖父さんも、叔父さんの思い出を取っておきたかったんじゃないかな?  わたしは、ある事に気が付いた。 「おじさん、たしか十月生まれだったよね?」 「ああ、今月の十六日だよ」 「もうすくじゃない!」 「この年になると、どうでもいいよ」  そう言い残すと、叔父さんは自転車を担いで階段を降りていった。  どうでもいいって言ってたけど、わたしは叔父さんに何かプレゼントをしようと決めた。  お母さんが、叔父さんを気にかけていたように、叔父さんはいつもわたしを心配してくれている。  全てが上手く行くなんて事はないのだろうけど、わたしは決して独りじゃない。  失った友人を取り戻せないとしても、二度と失わないよう全力を尽くそう。  わたしは修行を再開すべく、本堂に向かった。                                       ―終―
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