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「俺も幸せだよ、恵子。一生大切にする。」
二人は永遠の愛を誓い合った。
数か月後、恵子は白い花に囲まれていた。桐の箱にこぢんまりと収まった恵子の傍では、皆がすすり泣きや嗚咽を漏らしている。
「この度は、母、恵子のために、お集りいただき、ありがとうございます。」
喪主は隆行である。その隣には、喪服姿の妻、美奈子の姿。
恵子は、安らかな顔で眠っているようであった。
納棺の時は、さすがに気丈に振舞っていた隆行も涙をこらえることができなかった。
「母さん、今までありがとう。」
そう言いながら、隆行は、コンビニのゴミ箱に捨てたはずの葉書を母の棺にそっと忍ばせた。
葬儀を終えると、妻の美奈子が隆行に寄り添った。
「あなたから、一年間、別居してくれと言われた時には、驚いたわ。」
隆行の母、恵子は気丈な女であった。隆行が恵子のお腹の中に居る時に、父は不幸な事故に遭って死んだ。隆行は、父親の隆の顔を写真でしか見たことがない。隆行は、若かりし頃の父の姿しか知らないが、大人になった自分は、隆にうり二つだと思うほどに似ていた。
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