猥褻巡礼記

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猥褻巡礼記

神々に選ばれし者 現世(うつしよ)に 生くる能はず 呪はれし者… Munchen その日、法学部の学生たちは国会のライブ中継に注目してました。 私は隣にいる麗子に言いました。 こんな馬鹿な法案が通るわけないよ… 麗子は無表情でした。 それは公開処刑法案の審議でした。 処刑を公示された日時場所において公衆の面前で行い、その模様をライブ中継するというものです。 執行方法も奇怪で、死刑囚自らが十字架を背負い、高所にある処刑台に登り、十字架を台にはめ込むのです。 そして死刑囚に最期の言葉を述べさせた後に磔にします。 さらに死刑囚を火焙りにし、苦痛が限界に達した時点で矢を放ち絶命させるというから狂気の沙汰です。 こんな馬鹿な法案が可決されるわけありません。 賛成の議員は御起立ください… まさか… 賛成多数により本法案は可決されました… 教授も学生たちも呆然となり、ふと麗子を見ると不思議に涼しげな表情でした… 麗子とつきあい三年経ちますが彼女を理解できません。 麗子は大変優秀で、その論文は教授たちでさえ驚くほどです。 彼女はすらりとして気品に溢れる顔立ちで、清楚で礼儀正しく誰からも好かれる女性です。 しかし私は麗子との恋に疑念を抱き     
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