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数日後、学校から寮に帰って来た僕は部屋で今日の科目を全部復習していた。そんな時に寮の放送が鳴った。
【1年A組、北原朋希君。ご家族から電話がかかってきております。至急、事務所までお越しください。】
僕は驚いていた。だって、家族とは縁を切っていたけど、名字と保証人は父親だった人に借りている。
だから、家族は誰もいないのに…ふと思い浮かんだのはー九条だったー
あいつなら友達って言いそうだが…言わなかったのが不思議でならなかった。
朋希『みゆきママ、放送ありがとう。電話
、借りるよ。多分、1時間は話すと思うから』
みゆき『分かったわ。ごゆっくりね』
朋希『うん、ありがとう。』
僕はみゆきママと話してから電話の受話器を取った。
朋希『はい、もしもし』
桃也「もしもし、朋希?僕、桃也だよ」
朋希『えっ、なんで?桃也さんが?』
桃也「…やめて、前みたいに兄さんって呼んで?」
朋希『いや、もう僕には関係ない事ですから呼べません。』
桃也「…なんで?父さんと母さんがまた言ったの?」
朋希『…またって気づいていたんですね。そうじゃないですよ。僕から縁を切ったんです。昔から僕は邪魔者扱いされて生きてきましたから。』
桃也「そんな事…」朋希『あるんですよ。僕も嫌でしたから。昔からそんな環境に入るのも染まるのもね。だから、僕には関係ないし、桃也さんにも関わりたくないですから、これっきり関わるのはやめてください、お願いします。』
僕は電話機の前で頭を下げた。それぐらいあの家族と親戚にはもう関わりを持ちたくなかったから。
桃也「…分かったよ。でも時々は僕に近況報告してくれないかな?手紙でいいの!僕は朋希の事が聞きたくて…」
朋希『…何故、そこまでして知りたいんですか。』
桃也「それは僕の弟だから。縁を切っても僕はまだ弟だと思ってるから。」
朋希『分かりました。手紙だったら書いてもいいです。ただし、書くか書かないかは分かりませんが。』
桃也「それでも待ってるから」
朋希『それでは、さよなら。』
僕は電話を切った。何故、桃也さんがここの番号を知っているのかーやっぱりまだ2人付き合っているんだろう。
僕が思っている事もできないぐらい2人はお似合いだ。だから、僕には関わって欲しくないのに…頭の中には笑顔の九条と兄さんが浮かぶ。
僕が苦しくなるから出ていって欲しいのに…
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