プロローグ

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ファンタジーとの出会いに胸が踊る。 憧れていたものへの遭遇に、夢のようだと感じた。 思わず頬をつねった。 「痛い……。」 こしこしと頬を擦って抓った痛みを誤魔化す。 思考の旅に埋もれる私を心配そうに見ていた変態美形不審者その1に、レオンハートがひっそりと声をかけていた。 変態美形不審者その1はレオンハートの言葉に頷くと、私に向き合った。 「我が名はアルバーニ=E=オーティズ。 そなたを我が妃として迎えに来た。 ともに魔界へ来てくれぬか?」 「・・・はい?」 私の口から出たのは間抜けな言葉だったろう。 魔法だーとか喜んでる場合じゃなかったよ。 本物のキチガイがいるよ。 え、それとも魔法があるから魔界もあるの? 「………というか、さっきから言ってるキサキってもしかして、王様の奥さんのお妃様のことだったりします?」 「もちろんだ。」 「無理、無理です、それ。」 思わず身を竦めた私に、話の流れからして王様なんであろうアルバーニ様にどうしてかと詰め寄られた。 「だって、後宮ってこわいじゃないですか!」 「……え?問題そこ?」 思わず、といった様子でレオンハートが呟いた。 だって、昼ドラちっくなドロドロ愛憎劇って苦手だし。私には無理。 オンナの戦いってえげつないんでしょ? 魔界とか凄く魅力だけど、命のが大事だからね。 「他をあたってください。」 だから、そろそろ帰れ。 もう7時だし。 私はお腹空いたんだ。 今日は和風パスタって決めてるんだから。
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