0人が本棚に入れています
本棚に追加
ファンタジーとの出会いに胸が踊る。
憧れていたものへの遭遇に、夢のようだと感じた。
思わず頬をつねった。
「痛い……。」
こしこしと頬を擦って抓った痛みを誤魔化す。
思考の旅に埋もれる私を心配そうに見ていた変態美形不審者その1に、レオンハートがひっそりと声をかけていた。
変態美形不審者その1はレオンハートの言葉に頷くと、私に向き合った。
「我が名はアルバーニ=E=オーティズ。
そなたを我が妃として迎えに来た。
ともに魔界へ来てくれぬか?」
「・・・はい?」
私の口から出たのは間抜けな言葉だったろう。
魔法だーとか喜んでる場合じゃなかったよ。
本物のキチガイがいるよ。
え、それとも魔法があるから魔界もあるの?
「………というか、さっきから言ってるキサキってもしかして、王様の奥さんのお妃様のことだったりします?」
「もちろんだ。」
「無理、無理です、それ。」
思わず身を竦めた私に、話の流れからして王様なんであろうアルバーニ様にどうしてかと詰め寄られた。
「だって、後宮ってこわいじゃないですか!」
「……え?問題そこ?」
思わず、といった様子でレオンハートが呟いた。
だって、昼ドラちっくなドロドロ愛憎劇って苦手だし。私には無理。
オンナの戦いってえげつないんでしょ?
魔界とか凄く魅力だけど、命のが大事だからね。
「他をあたってください。」
だから、そろそろ帰れ。
もう7時だし。
私はお腹空いたんだ。
今日は和風パスタって決めてるんだから。
最初のコメントを投稿しよう!