213人が本棚に入れています
本棚に追加
でも・・・雅と如月教授がキスしているのを見てしまったんです。
それでカッとなって・・・あずみ君がどこかへつれて行ってくれって言うから、ついそのことを兄に言ってしまったんです。そしたら、あずみ君を・・・」
隼人は言葉を濁らせ、ベッドの上に目を移した。
ベッドにはあずみが手足を四隅に縛られ、虚ろな目で山波を見ていた。
山波は思わず駆け寄りあずみの頬に触れたが、ひきつったような笑いを浮かべるだけで言葉もうまく出ない様子だった。
「ごめんなさい・・・謝っても許されないことはわかっています。
僕、本当に取り返しのつかないことをしたと思っています。
兄がどんな薬を使ったのかはわかりません。
ただ、中毒になるような薬を使ったことは確かで、夜になると暴れるんです。
だから・・・
薬を使わなくてもいいようにするしかできなくて・・・
どうしたらいいでしょうか・・・」
「鶴屋君、那珂先生を呼んできて。ちゃんとした病室に変えてもらおう。
隼人・・・あずみ君をちゃんとお医者さんに診てもらおう。
そして、君もちゃんと診てもらって傷も心も治すんだ。
そして谷中君のところへ行きなさい。」
「僕はもう、雅のところへは行きません。
こんな恥ずかしい僕を見られたくはありません。
どんな顔をして会いに行けばいいでしょう。
雅の好きな人を苦しめ、その周囲の人も苦しめ、そんな僕を雅が許すわけもないです。
最初のコメントを投稿しよう!