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山波はまだ狼狽えていた。すべてが解決できるほんとうの答えを探していた。
「山波先生。どうしたんですか?いつもの先生らしくないですよ。
考えながら行動する、そんな先生がかっこよかったのに・・・迷っている姿なんて見たくないです。
いま出せる答えは1つしかないですよ。」
山波はハッと思いついたように教室を出た。
「待ってください。僕も行きます。」
「俺は学長のところに寄ってから出る。おまえは荷物を持って車をまわせ。」
「わかりました。」
山波の気分は爽快だった。
なぜ、そんな簡単な答えを出すことに迷っていたのか、自分自身もわからなかった。
学長には約束を週明けに変更するように願い出た。
山波は覚悟をしていた。如月を無事連れ戻したうえで、自分は処分を受る。
決心がつかなかったのはただ一つ、緑山のことだった。
緑山を守らなければ、そのことばかりを考えてなかなか決心がつかなかったが、
緑山から片時も離れたくないのは自分のほうだった。
山波はすでに鶴屋が運転席に居るのに押しのけて乗り込んだ。
「鶴屋、運転は俺がする。」
「いえ、僕がします。」
「おまえの安全運転では今日中につけない。」
「無事につかなければ意味がないじゃないですか。」
「うるさい。どけ。」
「いやです。先生は疲れているから、少し寝てください。近くまで運転しますから。」
「・・・そうか、じゃあたのむ。」
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