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五、復讐、山内和人、如月への愛
月曜、如月の乗った車は高速道路から一般道に移り、山のほうへ向かっていた。
建物も外灯も少なく、夜は闇のように深い。
空には星が輝いていた。憎らしいほどの満天の星が輝く美しい空だった。
そしてさらに深い闇の奥へと吸い込まれるように車は走った。
その場所についたのはまだ、あたりが深い闇の中にいる時だった。
表向きにはごく普通の街医者だ。外来の患者を受け入れる入口もある。
だが、迎え入れられたのは、脇にある別の扉からだった。運転手が扉を開けると、如月ひとりが入ってすぐに扉は閉じられた。
暗い病院の中で頼りになるあかりは非常口を知らせる看板のあかりと、所々にある非常灯だけ。
壁つたいに、とにかくまっすぐに歩き、唯一明かりのついていた階段を登った。
二階に上がり、長い廊下を左に曲がると急に広いフロアに出た。
如月はその光景をとても奇妙に感じた。広いフロアは長い廊下とガラスで仕切られ、中には子供から老人まで、年も性別もいろいろな人が、この階だけで三十人ほどはいるだろうか・・・
ベッドで点滴をうつもの、なんだかよくわからない器械につながれているもの、いろいろだった。
「やっと会えましたね。」
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