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「あ。さっきと部屋が変わったのだろうか?」
「ええ、さっきより広いし窓も南向で陽も差し込んで一日中暖かい。
家具も一流のモノを用意しておきました。あなたがいつか必ずここへ来るとわかっていましたから。
本は僕が選びました。気に入ってもらえると嬉しいな。
足りないものがあればすぐ揃えさせますから。」
如月は山内の言葉にはニコリともせず窓の外を見て言った。
「さっきの彼は、ここに私がいることがわかるかなぁ・・・」
まったく関心のない如月を威嚇するかのように、机の上のフルーツに添えてあったナイフを、りんごに思い切り突き立てた。
りんごが潰れるほど強く突き立てたにもかかわらず、如月は少しだけ顔を向けただけで、ため息混じりに向きを変え、また窓の外を見た。
二本目の点滴が始まったのはそれから間も無くの事だった。
その日の夜は激しい頭痛と吐き気に襲われた。
トイレに立ち上がる事もできないほどのひどいめまいもした。
一人ベッドで苦しんでいるとあの看護士が部屋へそっと入って来て、苦しむ如月の背中をさすった。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう。少し治ったよ。」
「写真立て、街に行って買ってきました。
あと下着とパジャマも。
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