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山波もまた、ひとつの決心をしていた。
だが、如月は一人でやっていけるのだろうか・・・
いや、逆に自分がいることで如月にも迷惑をかけている。
様々な思いが交差するが、うまく考えることができずにいた。
心の中に突然できてしまった穴が山波のすべてを引き潮のようにその場から連れ去った。
荷物はダンボール箱1つだけだった。
翌朝、鶴屋と雅の携帯に山波からのメールが届いた。
朝一番で研究室に置いてある資料に目を通すようにと書いてあった。
二人は研究室の前で鉢合わせした。
研究室には、キレイにファイリングしてある資料があり、夏休みの間、如月が大学に出てくるまでこのプリントを配って凌げと張り紙があった。
そのほかにも、何が何処にあるのかを事細かに書いてあった。
「これ何ですか?」
「それで山波さんは・・・。」
鶴屋と雅の二人で研究室に座って待ったが山波は現れなかった。
寮の山波の部屋も綺麗に片付けられ、携帯もつながらなかった。
二人はなすすべなく、如月の病院を訪ねた。
そして一部始終を伝えると
「だったらそのプリントでなんとかしなさい。
山波が残してくれた大切な資料だ。
無駄にしないように使いなさい。
頑張らなくてもいいといったのは私だ。彼をしばらくは自由にしてあげなさい。」
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