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「教授。山波さんがいなくなって、どうしていいかわからないです。」
鶴屋は泣きながら如月に訴えた。
それは紛れもなく、本心なのは如月にもよくわかっていた。
「すぐに私も行く。それまでは山波の指示に従いなさい。」
如月は本から目を離さずそう答えた。
目は文字を追っていたが、頭の中も心の中も、壊れそうなほど山波の心配をしていた。
「薫さん、俺、もっと勉強します。だから、山波さんの代わりになりませんか。
山波さんも帰ってこないかもしれない、緑山もいない。
俺、一生懸命頑張りますから。あなたのそばに・・・」
雅の言葉に本を閉じ、大声を上げて笑った。
「こんなに笑ったのはいつぶりだろう。
山波の代わり?そんなの誰にも出来るわけがないだろ。」
「せめて夏休みの間だけでも・・・あなたの力になりたい。」
「仕方ない、じゃあ、山波がどこにいるか探してきたら夏休みだけ許そう。
無理に連れ戻さなくていい。
どこにいるか、今、幸せなのか、それだけがわかれば、それたけでいい。」
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