六、真実、それぞれの愛の終わり方

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如月にそう言われ雅は病院をでて、開いている時間のすべてを、山波を探すことに使った。 山波がいなくなった今、如月を支えられるのは自分しかいないはずだと信じていた。 大学は2日ほどプリントで頑張ったが、3日目からは如月が大学へやって来た。 教室に入るなり生徒に向かって、 「君たちは、山波をココから追い出した事を正義と思っているかもしれないが、すぐに後悔する事になるだろう。 なぜなら、私は山波よりさらに厳しいジャッジをする。 今までは山波が私の冷酷さを緩和してくれていたが、もう誰も私を止める者はいない。 その意味が君たちにわかるかな。 では、久しぶりの授業を始める。ついてこれない奴は辞めてくれて構わない。」 如月は顎をあげて薄笑いを浮かべた。 緑山は父親の会社に入った。 はっきり言ってお飾りだった。 両親が切望したわりにはたいした仕事も与えず、日々意味のない商談を繰り返し、空をつかむような仕事をして成果のない毎日に嫌気をさしていた。 イタリア製のスーツに靴、高級車を乗り回し、そのルックスで、社内の反感を買わないわけがなく、誰しもが表向きは愛想笑い、だが本音は陰口と嘲笑。 その辛さと寂しさを埋めるように毎晩友達を連れ立って遊び歩いた。 だが本当の友達などいなかった。 だからそれも長くは続かず、退屈と寂しさで瀕死の状態で如月の家にやってきた。 「則夫か久しぶりだね。元気だったか。」 「うん。」 「又、スーツを新調したのか。」 「うん。」 「なかなか似合っているじゃないか。」 「そうかな・・・」 居間の奥のサイドボードの前で、如月に背を向け立ったままでいる緑山が、ただひま潰しに来たわけではないことはわかったが、自分から言い出すまで待とうと思った。 「ゆっくりしていけるんだろ。紅茶でも入れよう。」 だが、場の悪いことに鶴屋と雅とあずみの3人が陽気な声で帰って来た。 「あ、緑山さんお久しぶりです。お元気でしたか?」 「うん。」 「僕の大好きな規夫君だ。」 「あずみ・・・髪を切ったのか・・・・」 「ええ。今回のことでお兄様には多大なご迷惑をおかけしたから僕なりのお詫びの印と思って、男の子になってみました。 でも、とても後悔しています。」
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