六、真実、それぞれの愛の終わり方

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駐車場の車の影で3人が如月を待っていた。 「帰ろう。・・・それとも何か食べて帰るか?」 「イジワルはもういいや。」 「そうだった。君たちは服を着ていなかったね。」 如月は楽しくてしかたがなかった。緑山が笑って暮らせる日が戻ったことが。 そしてもう一人、寂しい男にもきっと笑顔が戻ると信じていた。 如月の屋敷につくとワイワイと一気に賑やかになった。 如月はその声から避難するように庭へ出た。 「教授。」 声をかけてきたのは雅だった。 「あの日、僕が今日の緑山のようにしていたら、僕達はもっと違っていたでしょうね。」 「ああ、でも終わったことだ。今さら、何を思ってみても過去は変わらない。」 「もう一度、やり直せないかな。昔みたいに。」 「私は、今の幸せを結構気に入っている。 君がそばにいて、私はいつでも君の幸せを見る事ができる。 君と、君の恋人も含めての幸せを・・・そういう幸せはだめかい?」 雅は如月の隣に立って同じように庭を見ていた。 見ていた景色は幼い頃の自分が、初めて如月を見つけた、あの日の自分を見ていた。 緑山の新居は如月の屋敷の離れになった。 緑山の服は、緑山の母親がこっそり持ってきて鈴木に預けて帰った。 もちろん、婚約は破談、でも後のことは心配するなと伝えてくれと言われたが、如月は伝えなかった。 伝えたことはただ一つ、山波が今勤めている会社の住所。 住まいはわからない。多分、その近辺には住んでいると思うとだけ伝えた。 「前に山波を見たような気がして、追いかけて行った場所と全然違う・・・」 「今度は大丈夫、見つけられるさ。」 緑山は目に涙をいっぱいためて頷いた。 「どうやって見つけるかは自分で考えろ。」 如月は緑山の頭を撫でて、母屋へ帰って行った。その日、緑山は久しぶりにゆっくり眠れた。 何も考えず幸せな夢だけを見て眠ることが出来た。
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