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出会いは・・・大学の図書室。
雅と隼人は、同じ学部だったが、雅は3つ歳下の隼人の存在はこの日まで全く知らなかった。
その時の雅には死にたくなるほど身を焦がし、狂うほど夢中にさせる人がいた。
その人を追ってこの学校に来た。
隼人と会ったその日も、その人を見つめるために3階の図書館にいた。
そこからは、その人のいる場所が手に取るように見える。
その人も見られているのを気づいているように雅が見下ろす時間には、窓際に立ちいつまでも空を見上げていた。
二人を隔てるその距離が縮まりそうで縮まらないことに強く苛立っていた。
棘の縄に締め付けられる胸の苦しみと日々重くなる過去の十字架から解き放たれたくて、その場所に行くことを辞めようと何度か思ったが、ダメだった。
そして、絞めつけられる胸の痛みに耐えながらその日もまたそこに立っていた。
その人を見つめるためだけに。
「この学校はとっても広いですね。僕、田舎者だから迷っちゃって・・・
食堂に行きたいのになぜか図書館に辿りつくんです毎日。」
雅が窓の下のその人と見つめ会っているその時に話しかけて来たのが一年の隼人だった。
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