207人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
緑山の手を握り、真剣な顔をして言う山波に、我慢できずに声を上げて笑った。
唇の傷が痛くて、目元の痣がうずいて、体中の傷がひりひりと電気が走るようにしびれても、お腹をよじらせ、声を上げて笑わずにはいられなかった。
「安心したよ。君が笑ってくれて・・・・」
なぜか山波は涙を流した。眼鏡を取ってポケットから出したハンカチに顔をうずめて泣き出した。
「ごめんなさい。先生。」
「答えを聞かせてくれるか?」
「なんの?」
「私と・・・お付き合いをしてくれますか・・・」
「はい・・・」
その答えで、山波は緑山を抱きしめて声を殺して泣いた。緑山も山波の髪を撫でながら泣いていた。
廊下でその光景を見ていた雅と隼人は部屋の扉を静かにしめ、そっとリビングに移動した。
「学校、今日はお休みしてゴロゴロしよう。隼人も付き合ってくれるか。」
「はい。」
「俺たちは床だけど、いい?」
「はい。」
雅は隼人を強く抱きしめて強く口づけをした。
「セックスの仕方が分からないんだって。
そんなの俺たちがいくらでも教えてやるのにな。」
キスの途中、おでこをあててそういうと、少し乱暴に隼人の服を脱がせ、首筋から胸に舌を這わせた。
隼人がいつものように「あっ」と甘く息を漏らすと、「声出すと聞こえちゃうよ。」意地悪に耳元でそう言い、我慢できない気持ちを全部隼人にぶつけるように、いつもより強めに抱きしめ、いつもより手荒く小さな隼人を裂く程に激しくぶつけた。
隼人は、雅のことは大好きで、こうなることも望んでいた。
けど、さっきの緑山が羨ましくて、山波の誠実な愛に包まれてみたい。
あの愛はどんな味がするのか、味わってみたいと雅の腕の中で降りしきる愛を受けている間その事ばかり考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!