第2章

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 子供の頃、誰もが思う疑問なのだと思う。  何故自分は生きているのだろう。  そして、答えなど見つけられないままほとんどの人間が大人になっていく。  すぐ思考を止めた人もいるだろう。モヤモヤしたものを抱えたまま育った人もいるだろう。  それでいい。  正解などない。答えなど見つかるわけがない。  何故なら、自分自身が人間として生きているから。  鏡は自分を映してくれる。だから自分の外見は分かる。しかし、中身を映してくれる鏡など無い。内側からしか自分を見ることは出来ないのだ。  どう頑張っても、この世に人間を客観視出来るものなど存在しないのだ。  ただ、世の中には勘違いしている者達がいる。  生きる意味を。何故ここに自分が存在しているのかを。  分かったふりをして、いかにも人生の勝利者のように立ち尽くせる者達がいる。   そして俺はそういう者達を羨ましく思うときがある。そういう者達のふりをしたときもある。  でもそれは虚構の虚構でしかなかった。  すぐに自分自身で化けの皮を剥ぎ、自身の殻へと自ら入っていった。  ただ生きることしか出来ない俺という存在に。  
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