プロローグ

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 世の中には2種類の人間がいる。  人を殺せる者と殺せない者。  もちろん、衝動的なものや、憎しみから起こるものは含まない。快楽で行う者も。    ただ坦々と人を殺めることが出来るかどうか。  それが出来るか出来ないか。    気持ちいいとか気持ち悪いとか、楽しいとか楽しくないとか、正しいとか正しくないとか、そういう問題ではない。  ただ、人を殺すということ。  それをそのままの意味のみに受け取れるものたちが世の中には存在する。  そして俺は殺せる方の人間。  ただ、その中でも俺は特殊な部類に入る。  人を殺せるけれど、殺せない。  社会の中で孤独を痛いほど感じながら、その反対側で生きる者達の中にも馴染めない。  「生きている」という感覚のみを頼りにして、俺は今日も生きている。    ただ、ただ、生きている。
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