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体はもう動かない。
これが、死か。
何において何が正解なのか。
佳恵にとって、俺の選択は不正解。組織にとっての不正解。
だが、少し。ほんの少しだが心の温度が上がった気がした。
あの時分からなかったもの。死ぬ間際にやっと分かった気がする。
命と引き替えに、やっと人間としての当たり前の感情が理解できた気がする。
ああ。これなら。
こんなに温かいものなら、一生をかけても惜しくないと思えるのか。
薄れていく意識の中、俺は初めて心からの笑顔を浮かべた。
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