第1章

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第1章

 1  警視庁直属の組織。名前は無い。強いて言えば殺人課。    俺達は、というか、国民は子供の頃から監視というか、品定めをされている。誰も気付いていないが、義務教育という名で、俺達みたいな者を探している。  そして、高校時代になると1学年で数十人程度にに絞られる。  そこから、国の手が入る。ふるいにかけられる。  適正のあるもの。そうでないもの。  適正のあるものは卒業とともに、知らないうちに就職先や進学先まで操作されている。  そうでないものは自然と社会に溶け込んでいく。    そして、二十歳になった時、選ばれた者は事実を知らされる。  殺人者として生きなければいけないことを。  拒否権は無い。というか99%拒否しない。  その頃にはもう、人格は形成されているのだから。  ルールは大きいものは2つ。  身分をバラしてはいけない。  余計な詮索はしない。  このルールは絶対で、破った者は事故死扱いにされる。それに気付く者などいない。    そして、何故俺がそんなことを知っているか。    それは人を殺せなかったから。  
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