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第2章
1
俺は失敗した。
当然、殺されると思った。詮索はしていない。バラしてもいない。しかし、こういう時も殺されるものだと勝手に思っていた。
しかし実際は今も生きている。
ただ、生物的には。という意味で。
今の仕事はそれのみになっている。それというのは、その組織の中層部に当たる。
上からの指示を下に伝えたり、殺したあとの処理をしたりする。
普通の人から見れば、劣悪な犯罪者だ。
その職業一つになって、生活的には何の苦も無い。お金の心配は全くない。女性も求めれば派遣されてくる。
ただ……。
戸籍が無くなった。
法律上は死人。
だから国民の権利は何一つ無い。
無くなった後に、この組織の概要を知らされた。
知らされた上で、仕事を言い渡された。断る理由は無かった。断る選択肢も無かった。
それからは坦々とした日々を送り始めた。
上からの連絡が来て、それを下に伝える。暇なときは街に出て、遊んだりした。女性も抱いた。
今は何月何日で何曜日なのか。それを記号でしか受け取れない日々がずっと続いていた。
そんなある日……。
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