第2章

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 誰かから用意された殺風景な部屋の中。電灯は付けていない。  見てもいないテレビだけがついている。  その音を意識的に聞き逃しながら、俺は何も考えずにソファに座っていた。  トゥルル、トゥルル。  電話だ。仕事以外では鳴らない。なので仕事だ。  無感情に通話ボタンを押す。 「仕事だ。」 「今度は何の?」 「飯村俊介という人物を殺せ。細かいデータはメールで送る。」 「え?何でだ?」  俺の問いなど聞こえなかったかのように電話は切れた。  すぐにメールの着信音がなった。  飯村に関してのデータと殺害場所、殺害時間などが詳細に書いてあった。    何故だ。何故、今更。  読み進めていくと、俺の目が一瞬止まった。見覚えのある名前がそこには書いてあった。  宮前 佳恵。俺のかつての恋人。  飯村は別の目標を殺す際に、偶然目撃者となった宮前を殺してしまったらしい。ルール違反だ。  そして……。  宮前 佳恵は俺のかつての恋人だ。
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