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休日の午後、私は何か面白い番組をやっていないかと思い新聞のテレビ欄に目を通していた。とはいえ、休日の穏やかな午後になるとやっている番組といえば、ありきたりなバラエティー番組か昔のドラマの再放送と相場は決まっていた。そうでなくても、今の時代、“テレビ”に娯楽を求めるのは古くさかった。長年、私達の生活に娯楽と情報を提供し続けてくれたが、一世紀以上も経つと、その存在価値に陰りが見えてくる。情報ツール、娯楽など人々が求めるものは多様化し、一つしか取り扱うことができないテレビという媒体はどうしても劣ってしまうのだ。かつては、高画質や独自放送などを売り物にしてきたこの業界も、不況や不人気の煽りを受け、次々と放送局は閉鎖し、現在では国営のメディアしか残っていない。新聞のテレビ欄といえば、子供達にとって花形ともいえるコーナーであったが、需要の減少に伴い、今ではラジオ放送と一緒に紙面の片隅に追いやられていた。テレビ欄がこのような扱いを受けるようになるとは、昔の人々は思いもしなかっただろう。
「まだやっていたのか・・・」
テレビ欄を流し読みしていた私は、ふと、ある番組が目に止まった。久しく、テレビ欄などまともに見ていなかったので、見逃していたが、子供の頃からやっていたまだ継続していたのだ。あの頃から、一度も休みなく放送していたとすると、もう四十年以上は放送していることになる。これは、毎週放送している番組の中では上位に入るほどの長寿である。番組名も分かりやすく『長寿番組』と書かれていた。
子供の頃はよく分からずに見ていて、途中からネットの放送に惹かれ、久しく見ていなかった。当時の思い出と共に、懐かしさがこみ上げてきた。私はリモコンを手に取り、チャンネルを無意識にその番組に合わせていた。
「さぁ。今週もやってまりました!長寿番組のお時間です!司会は私・・・」
司会者が得意気に自分の名を告げるも、私は聞き流してしまう。彼もまた時代の流れに飲まれて、一年、長くても三年ほどで交替してしまうから。
カメラがスタジオ全体を撮すと、スタジオの中央に設けられた舞台に懐かしい顔ぶれが並んでいた。今回は全員、水着姿である。
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