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彼らは本物の不老不死であった。それと同時に、本物がいるのにも関わらず、偽者だといい罵倒する長寿番組が許せなかった。そこで、生放送であることを利用して、この世には不老不死となった存在がいることを証明した。
後日、テレビ局は事情を説明する為、当時スタジオにいた関係者と生還した不老不死の彼らを改めて紹介した。
「今でも私は夢を見ているような気分だ。いや、悪夢だ。不老不死が存在するなど」
大学の教授は本物の不老不死を見て以来、様相が変わってしまった。医学博士が隣にいることで平静を保っているようだが、それも長くは続かず本番中に退席してしまうほどだった。
対して医学博士は、不老不死に疑問を投げかけつつも、不老不死の存在は人々にとって新しい未来を切り開けるかもしれないと提言を述べていた。
マスコミは連日のように本物の不老不死である彼らについて様々な見解を述べた。肯定的だったり、否定的だったりと反応は様々であった。その中で、囁かれるようになったのはテレビ局のヤラセ疑惑だった。テレビ局も教授も医学博士も彼らも、全員グルになって視聴者を騙しているのではないかという疑問。
誰もが一度は思った。あまりにも、不老不死の存在が目立ち過ぎたことに。テレビ局はそんなことはないと否定したが、疑惑を払拭することはできなかった。そこで、本格的に始まったのは現在のような『長寿番組』である。彼らが本物の不老不死であるかないか、それを検証する為の番組。
それが一年、二年、十年と続き、今や放送局を国営に移して続いていた。
彼らは四十年前の姿のまま、少しも衰えていない。強塩酸の溶液の中で優雅に泳いだり、手を振って見せたりしている。少しも肌も溶けず、息苦しさも感じていない。彼らは不老不死であることに間違いなかった。
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