場所へ

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その場所は、僕の故郷、愛すべき街から電車を乗り継ぎ40分はかかる距離にあったことを、当時電車好きだった僕は覚えている。 しかし今の僕はというと、そこまで好きではない、どころか半分トラウマになるくらいに嫌いである。 気まぐれに徒歩で向かうことにした。そこまでの景色を思い出しつつ行こうと思ったのだ。 しかし道がわからなかったが故に、線路沿いを歩かなければならなかった。まあ最悪線路の上を歩けばいい。 電車が隣を通る度、びくびくしながら歩く僕は、人に見られることがあれば完全に不審者だ。もっとも、そんなことはないか。 そして僕が気が付いたのは、今日電車が運行しているという事実である。確か「一部で運転を見合わせております」とか、そんなことをテレビのキャスターが言っていたようだったが、運転を再開したらしい。 一人の人間が社会に及ぼす影響なんてものは精々一日二日迷惑をかける程度なのだろう。 見覚えのある踏切にて、供えられた花束を見て、そう思った。 ならば僕は、彼女に、一体どれ程影響を与えていたのだろうか。 ただそれだけが気になって、その為だけに歩みを進める。
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