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可愛い名前だな。と思いながら悠宇の後に続いてドアを開けた。
カランカラン
ドアを開けると、柔らかそうな茶色い髪の毛の男の人が出てきた。
「いらっしゃいませ。ようこそワンダーランドへ。私は店長の神梛(カンナ)と申します。本日は何をお探しですか?」
「えーっと、今日はお母さんの誕生日でプレゼントを探しているんです。」
「そうですか。それならこちらなんかはどうでしょう。」
そう言って神梛さんが雑貨の陳列されている棚から手に取って見せてくれた物は落ち着いた色合いの可愛らしい小さな巾着袋だった。何だろうと思って顔を近づけると家の庭に咲いている薔薇の香りがした。薔薇はお母さんの好きなお花だ。
「とってもいい香り。お母さんも喜びそうです。中に薔薇のお花が入っているのですか?」
そう尋ねると神梛さんは目を細めて微笑んだ。
「そうですよ。よくわかりましたね。これはポプリと言って中に乾燥させた薔薇の花が入っているんですよ。」
「これ、おいくらですか?」
とても可愛らしくていい香りだが、あまり高いと買えない。
「一つ十円です。」
「えっ!」
こんなに素敵なものだから、もっと高いのかと思っていたので少し拍子抜けしてしまった。
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